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東京大学大学院 農学生命科学研究科 生物材料科学専攻 磯貝・江前・齋藤・竹内研究室

研究紹介

ペーパーデバイス

紙文書類の塩水を用いた緊急処置法のキットの開発 

このテーマは、文化財保存学の中に位置づけられる。紙は2000年以上の間使われ続けている材料で、政治、経済、社会の膨大な記録が歴史となって残っているのも紙という材料のおかげである。その記録文書類が、津波や洪水などの水害被災を受け喪失してしまうこともあるが、その急激な劣化の最大の要因は生物劣化である。つまり、カビやバクテリアの発生により短期間のうちに腐敗してしまう。乾燥した状態にすぐに戻せば腐敗は防げるが、被災現場では乾燥機をすぐに稼動させることが困難である。そこで、適正な処理に取り掛かれるまでの間の緊急処置として、水害被災した紙文書や書籍類を塩水に浸漬しておく方法を、我々は提案した。

人工海水での実験では、濃度3.5%以上でほとんどのカビ類の繁殖を抑えられることが既にわかっている。技術的には、最終的な乾燥段階前の脱塩、乾燥後の脱塩の方法の確立、残存する塩がさらにその文書を長期保存したときに与える影響などを調べる必要がある。これらを十分検討した上で、塩水の調製、容器、保管後の洗浄、乾燥までの工程をマニュアル化し、緊急処置法のキットを開発する予定である。

トリコデルマ菌の繁殖。トリコデルマ菌が繁殖すると代謝物質のために黄色となる。
人工海水濃度増加(左から、0、 2、 3、 3.5%)とともに繁殖。

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