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東京大学大学院 農学生命科学研究科 生物材料科学専攻 磯貝・江前・齋藤・竹内研究室

研究紹介

ペーパーデバイス

低密度化剤とアルキルケテンダイマーの紙中での相互作用解析 

紙が軽量になれば、本やノートの持ち運びが便利になるとともに、原料である製紙用パルプの使用量を削減することができます。抄紙工程でパルプ懸濁液(パルプ繊維が水に分散した状態)に下図で示すような低密度化剤のエマルションを添加することにより、紙の密度を低減することができます。パルプ繊維は表面にマイナスの荷電を有していますので、プラスの荷電を有する低密度化剤がイオン結合によってまずパルプ繊維に吸着します。低密度化剤成分が吸着したパルプ繊維/水分散液から通常の抄紙工程を経て乾燥した紙になると、低密度化剤成分の疎水基の影響で、繊維間結合形成が阻害され、密度の低い、空隙の多い紙となります。同じ厚さの紙であれば、軽量化が達成できます。

しかし、繊維間結合が阻害されるために紙の強度が低下してしまいます。また、アルキルケテンダイマー(AKD)のようなサイズ剤(液体の浸透を制御する製紙用添加剤)の添加効果が低密度化剤の疎水基の化学構造によって大きく変化することがわかりました。低密度化剤をパルプ繊維表面に定着させず、無数にあるパルプ繊維壁内の空隙に定着させることができれば、繊維間での水素結合形成が維持されるため、低密度化効果を有しながらある程度の強度のある紙が製造できると思われます。

代表的な低密度化剤の化学構造

低密度化剤とAKDを添加したシートの電子顕微鏡画像。AKDの粒子が見える 通常の紙の断面(上)と低密度化剤を添加した紙の断面(下)の電子顕微鏡画像

Mukai, K.; Enomae, T.; Isogai, A. Nordic Pulp and Paper Research Journal, 2010, 25, 441-447

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